形成外科では、生まれつきの外表奇形を治したり、交通事故や手術、火事などで出来た傷をきれいにしたり、皮膚皮下組織に出来た出来物を最小限のきずで取り除いたりする科です。多岐にわたりますが、基本的には全身にわたり、皮膚、皮下組織の手術を行う科と認識して下さい。そしてどんなきずもきれいに治すことを最大の目標にした科と捉えて下さい。
レーザー治療イメージ
ほくろ、日光角化症、脂漏性角化症、軟線維腫など、「皮膚のできもの」といっても、医学的にはたくさんの名前がついています。
上述のものは良性のできものですが、ときに基底細胞癌、扁平上皮がん、悪性黒色腫など 悪性のできものであることもあります。
「急に大きくなってきた」「形がいびつ」「痛みを感じる」「出血する」等の悪性を疑うような症状がある場合は、一度医師の診断を受けられることをお勧めします。
たとえ悪性でなくても、徐々に大きくなってくるもの、部位的に除去した方が良いものなどは、治療の適応となりますので、気になるほくろ、できものが出来た場合には、一度診察を受けてみてください。
治療方法としては「摘出手術」「レーザー除去」の選択があります。
また、経過をみながら治療を選んでいただくこともあります。
術前
術後
術前
術後
汗管腫とは、目の周囲、おでこ、首などに生じる、皮膚のこまかい出来物です。
悪いものではありませんが、徐々に、増殖、融合にて、目立ってくるため、整容目的にて治療を要することがあります。
AGNESでは、皮膚表面は焼かず、皮膚の真皮内の病変部位のみを治療することが出来ます。ごく細い針を、汗管腫にさしていき、焼灼します。
治療は、3か月に1度。計3回程度要します。
治療後半年~1年かけて小さくなるケースもあります。ダウンタイム、経過)発赤、3~5日 内出血が出た場合は2週間で消えます。
当日は化粧不可、洗顔可能。翌日から、化粧可能です。治療後、熱損傷により、一時的にもとより大きく感じる時期がありますが、徐々に収まります。
眼瞼下垂症には、先天性の眼瞼下垂と、後天性の眼瞼下垂があります。先天性のものは生まれつき上眼瞼挙筋が弱く、まぶたを十分に開けることが出来ない疾患です。
後天性の眼瞼下垂は、外傷性、コンタクトレンズ脱着・アトピ―性皮膚炎による機械刺激性の眼瞼下垂、加齢性の眼瞼下垂があります。当院で扱うのは主に加齢性の眼瞼下垂となります。
眼瞼下垂といっても、挙筋が弱くなっている、あるいは挙筋がはずれてしまっている場合と、皮膚が弛緩している場合とで、手術の方法が異なります。
前者の場合は、挙筋前転法(挙筋の位置を正常位置に戻す手術)、後者の場合は、弛緩した皮膚の切除となります。
眼瞼下垂症の方は、まぶただけでは目を十分に開けることができないため、おでこや頭部の筋肉を緊張させていることが多く、それが頭痛、肩こり、眼精疲労の原因となっているとも言われています。
近年、テレビ番組で眼瞼下垂症が取り上げられたこともあり、治療を希望する患者さまが増えていらっしゃいます。
実際、手術をすると、大半の方が「目が開きやすくなった」だけでなく、「頭痛、肩こりが改善した」ということを実感されています。
術前
術後
術前
術後
術前
術後
眼瞼内反症とはいわゆる「逆まつ毛」です。
まつげが眼球に接触し、結膜炎症状、角膜びらん、を生じているようでしたら、手術の適応です。内反症には、上眼瞼内反症と下眼瞼内反症がありますが、上眼瞼内反症の場合には、眼瞼下垂症を合併している場合が多く、その場合は挙筋短縮術などの眼瞼下垂症の手術を行います。
遺伝性とも習慣性(細い靴をはく、立ち仕事が多いなど)とも言われています。
巻き爪、陥入爪も症状がなければ、そのまま放置しても構いませんが、周囲の皮膚が赤くはれていたら早めに受診されることをお勧めします。
軽いものであれば、プレートやワイヤーを使って巻いている爪を矯正する方法で治ります。2~3ヶ月に一度の通院で、1年~2年かかります。
痛くて歩くのも辛い、早く治してしまいたい、という方には、フェノール法による根治術をお勧めします。巻いている部分(通常3ミリ程度)のみを部分抜爪し、爪を作る組織にフェノールを約2分あてがいます。麻酔が効いてから約5分で治療が終わります。
フェノール法の最大の利点は、術後の疼痛がとても軽いことです。フェノールが神経終末にも作用するため、ほとんど痛みがありません。
ただ、少し、爪が細くなりますので、細くなるのが好ましくない方にはお勧めできません。
アポクリン腺の発達および、汗に細菌感染が加わって特有の臭いを発する疾患を腋臭症といいます。
いわゆる「わきが」です。
腋臭症の治療は 針治療法、超音波吸引法、クアドラカット法など、いろいろな方法が開発されています。当院では、保険適応の剪除法を行っています。
わきのしわにそって約3センチ(女性)約4センチ(男性)の切開をくわえ、直視下にアポクリン腺を取り除きますので、もっとも確実にアポクリン腺を除去できる方法と考えられています。
瘢痕拘縮形成術;保険適応になる瘢痕拘縮とは、顔であれば、瞼の開瞼、閉瞼障害、口の開口、閉口障害、四肢、手の運動機能障害を伴うもののみ、保険治療が認められています。Z形成術、W形成術、など、形成外科の様々な手法を用いて、拘縮の解除を目的とした手術を行います。傷がなるべく目立たなくなるような縫合方法をとりますが、傷が完全に消えてなくなることはありません。
上記、機能障害を伴わない傷あとの形成手術は、美容目的とみなされ、保険治療の対象となりませんので、自費治療になります。
肥厚性瘢痕は、皮膚腫瘍の一種ですので、皮膚腫瘍摘出手術の適応になります。目立たないように切除、縫縮します。
真性ケロイドの場合は、内服や注射でケロイドの増殖をおさえます。
陥没乳頭は乳頭が突出せず、乳輪より奥へ引き込まれている状態です。機能的には赤ちゃんが母乳を飲めない授乳困難となったり、細菌感染を引き起こしやすくなります。また、整容的にもコンプレックスとなり悩まれることがあります。 軽度のものは乳頭吸引器を装着して改善する場合があります。引っ張っても出てこない、すぐに戻ってしまうなど程度の強いものに対しては、手術が必要となります。手術はできるだけ乳管が傷つかない方法で行います。 授乳目的には保険治療が適応されます。